これまでご紹介してきたコミックは、ずいぶん前に連載が始まった作品ばかりでした。
今回は、割と最近の作品です。
誰かこの状況を説明してください!~契約から始まるウェディング~
1~3巻 連載継続中
1冊110円(税込)の分冊版では、現在第25話まで販売されています。
作者: 木野咲カズラ 徒然花 出版社: フロンティアワークス
この作品はライトノベルも販売されており、小説の作者が徒然花さんです。このコミックは小説をもとにした作品です。
とにかく可愛らしい作品です。登場人物に悪い人がいなくて、ほのぼのとした雰囲気で安心して楽しめます。
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ある日、貧乏貴族の令嬢のヴィオラに縁談が舞い込みます。相手は超名門貴族の当主でイケメンのサーシス様。
ヴィオラはサーシス様をパーティで見かけたとがあるくらいで、イケメンで女性に人気があることは知っていました。
でも、話をしたこともなく、相手のことは全く知りません。
サーシス様が結婚の申し込みに来た時、ヴィオラはとんでもないことを言われます。
それは、自分には6年間つきあっている彼女がいるが、彼女は流浪の踊り子だったため、まわりから結婚を反対されていること。
身を固めろとしつこく言われているため、彼女と別れるつもりはないが、ヴィオラにはお飾りの妻になってほしいと言うのです。
ヴィオラには何不自由ない生活を保証する、恋人を作ってもらってもかまわないとも言われます。
ヴィオラの生家は飢饉の時、領民を救うために借金をしており、ヴィオラがサーシス様と結婚すれば、その借金はチャラになるのです。
ヴィオラは自分さえ我慢すれば、生家が救われると考え、サーシス様との結婚を受け入れます。
こうやって書くと、ヴィオラが悲壮な決意をして結婚を決めたように思われるかもしれませんが、全くそうではないのです。
ヴィオラは自分がどうにもできないことは気にせず、そのなかで楽しく暮らしていこうと考えるタイプです。
サーシス様と結婚して、サーシス様がほとんど自分のところに寄り付かず、愛人と過ごしていても、契約通りだと全く気にしていません。
ただ、子どもを生む必要もなく、社交も免除されているため、召使いがたくさんいる公爵家では全くすることがありません。
一人で食事をするのは寂しいので、召使いたちの休憩に混ぜてもらって、一緒に食事をしたりします。
また、実家ではいろいろ家事をしていて忙しくしていました。
それで、公爵夫人が着るような豪華なドレスではなく、動きやすいシンプルなワンピースを着て、召使いたちと家事もするようになりました。
最初は奥様にそのようなことはさせられないと言っていた召使いたちですが、ヴィオラの願いを聞き入れて、一緒に行動するようになります。
それでいて、奥様であるヴィオラのことを大切に思っていて、よく仕えてくれています。
ヴィオラと召使いたちの暖かい関係もこの作品の魅力です。
お屋敷のインテリアを変えたり、毎日の食事も召使いたちの出身地の郷土料理を出すようにしたり、ヴィオラはお屋敷の雰囲気を少しずつ変えていきます。
その様子を見た旦那様のサーシス様は、ヴィオラに興味を抱くようになり、お飾りの妻としてではなく、ヴィオラを愛するようになります。
サーシス様は名門の公爵家に生まれ、将来の公爵として立派な振る舞いをすることを期待されて育ちました。
家柄も外見も良いサーシス様のまわりには、サーシス様の条件に惹かれて寄ってきた人しかいませんでした。
しかし、ある日、サーシス様は友人と行ったバーで踊り子のカレンデュラと出会います。
カレンデュラはサーシス様が名門の公爵家の人間であることや、イケメンであることには全く興味がない女性でした。
サーシス様は自分自身を見てくれるカレンデュラに惹かれていき、一緒に暮らすようになります。
カレンデュラは感情の起伏が激しく、横柄な態度をとるため、召使いたちからは嫌われていました。
サーシス様は多くを望まず、慎ましやかで、穏やかに楽しく暮らしているヴィオラに惹かれていき、カレンデュラと別れることにします。
サーシス様がカレンデュラに別れを切り出すシーンがとても面白かったです!
ヴィオラは契約結婚をなんの抵抗もなく受け入れているため、カレンデュラがいなくなったら、自分も屋敷にいられなくなるのではないかと考えます。
そこで、別れの話で言い争いをしているサーシス様とカレンデュラの会話に割り込んで、そのことを確認するのです。
サーシス様はヴィオラが好きになっていて、これからはヴィオラをお飾りではなく、本当の妻として暮らしていこうと思っています。
ただ、ヴィオラはサーシス様の気持ちを全く理解していません。
カレンデュラが強がって、
「こんな男、奥様に差し上げますわ」
と言っても、
「いやいや」
と手を振って、自分もいらないという意思表示をするのです。笑えますよね。
しかし、カレンデュラは結局お屋敷を出ていきます。ヴィオラはカレンデュラを見送りますが、カレンデュラはヴィオラに
「サーシスをお願いね。私はサーシスを大切に思っていたから」
と伝えます。ヴィオラはここでも
「え?私ですか?」
と言っちゃうのですが(笑)。カレンデュラは最後に、
「あなたの正直なところ、好きよ」
とヴィオラに言って去っています。カレンデュラもただの悪い人ではないという描かれ方をしています。
カレンデュラが出ていって、サーシス様とヴィオラの結婚の条件も変わり、契約結婚ではなく、本当の夫婦として暮らしていくことになります。
ヴィオラはまだとまどっているんですけどね。ヴィオラが他に恋人を作ることも禁止されました。
今はサーシス様が一方的にヴィオラを愛していて、自分になんとか振り向いてもらおうと、デートに誘ったり、贈り物をしたりします。
作品の中でも犬に例えられているように、けなげな感じです。
ヴィオラは今はサーシス様に優しく接しているものの、相手に対して好意を実感するところまではいっていません。
好きではあるのだろうなという感じはするのですが。
これから話が続いていって、サーシス様の思いは報われることになるとは思いますが、どういうふうに二人が結ばれるのか、とても楽しみです!
とても暖かく安心できる雰囲気の作品なので、多くの方にお勧めしたいです。
「誰かこの状況を説明してください!」は、以下のサイトで読むことができます。