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町でうわさの天狗の子(ネタバレ感想)

私はもう結構な年なんですけど(笑)、漫画を読むのが好きです。

今は前ほどいろんなものを読んでいるわけではありませんが、気にいったものを何回も読み返しています。

このブログでも、そんなお気に入りの漫画をいくつかご紹介していきたいと思います。

 

町でうわさの天狗の子 1~12巻(完結)

作者: 岩本ナオ 出版社: 小学館 月刊Flowersで連載されていました。

 

この漫画は、実は私の誕生日に、妹から全巻プレゼントされました。

読み始めた時は正直、絵がそんなにうまくないなと思っていたんですけど、読んでいくうちにとても面白いと思うようになりました。

 興味深い天狗という設定

まず面白いと思ったのが、天狗という設定ですね。

主人公は秋姫という女の子で、1巻では15歳の設定でした。最終巻では高校2年生になっています。

 

秋姫は康徳神社の康徳坊という天狗と、一般の人間であるお母さんの間に生まれました。お父さんとお母さんの年齢差はなんと450歳!

お父さんは緑峰山という山の上にある康徳神社で暮らしており、子どもが生まれたら、お父さんが引き取るということになっていました。

でも、お腹が大きくなってきたら、お母さんが子どもを渡すのが惜しくなり、秋姫はふもとの町で母親と暮らしています。

 

秋姫は普通の女の子でいたくて、天狗にはなりたくないと考えていて、山にはあまり寄りつきません。

普通の女の子と違うのは、食べる量がものすごく多くて、力がとてつもなく強いということです。

 

お山には幼なじみの瞬ちゃんと、神社の眷属神になるために修行をしている狐やたぬき、うさぎ、いのししたちが暮らしています。

 

そのほかにも、天狗界では名門と言われている鞍馬の天狗の娘であるモミジや、四国の石槌山から来た天狗の栄介も登場。

栄介の世話係の眷属神の福山様、緑峰山の眷属神の白妙様、疾風様もいます。

また、秋姫が修行を十分にしていなくて、力が弱いことを知っていて、いつもちょっかいをかけてくる異界の生き物たちなどもいます。

 

緑峰山のふもとの町に住む人達は、秋姫が天狗の娘であることを自然に受け入れています。

天狗と愛し合って、子どもを生んだお母さんのことも、差別するようなことは全くありません。

 

秋姫と親友のミドリちゃんのほか、同じ町に住んでいる子たちも、秋姫が天狗の娘であることを受け入れています。

ただ、新しい学年になって、別の町から来た子たちと一緒のクラスになると、最初は

「天狗って何言ってんの」

という反応が返ってきたり、からかわれていじめられることもあります。でも、慣れてくると、やはり受け入れるようになります。

そこがこの漫画のいいところだと思います。優しい雰囲気があります。

 

9巻からは奈良に住んでいる「鬼」の一族も登場して、物語の世界が一層広がります。

 

少女漫画で天狗が題材になっているものはそんなにないと思うので、とても興味深かったし、面白かったです。

 

高校生の友情物語、ラブストーリー

ここまで読むと、なんて変わった作品なんだろうと思うかもしれませんが、実は普通の高校生の友情物語であり、ラブストーリーです。9巻くらいまでは。

 私は実は、9巻くらいまでの普通の高校生の物語という感じの話の方が好きです。

 

秋姫は同じ中学出身の神谷タケル君のことが好きでした。タケル君は代々仏師をしてきた家の子です。

秋姫の父親の康徳様は、代々神社に貢献してきた神谷の家を末代まで守ると約束をしています。

タケル君も何かを作ることが好きで、しかも不思議な力があり、作ったものには異界のものがよってきたり、何か不思議なことが起こったりします。

 

タケル君はアイドルのような容姿をしていて、女の子にもてもてです。

高校に入ってから、タケル君に憧れている女子達が、あることをきっかけにタケル君に告白し、秋姫も自分の気持ちを伝えます。

その後、タケル君と付き合えるようになりますが、それほどたたないうちに、

「やっぱり「友達」に戻れないかな」

と言われて振られてしまいます。

 

タケル君に振られたことを、ミドリちゃんをはじめ、女の子の友達に報告した時の話が好きです。

タケル君と別れたことを聞いた友達は、秋姫をなぐさめるため、夏休みの補習をさぼってファーストフード店に皆で行くことにします。

心ここにあらずで、ただ落ち込んでいる秋姫の代わりに、メニューを注文してあげたりします。

 

また、泣きじゃくる秋姫に、

「家でひとりの時はテレビつけてたほうがいいって。人の声って安心するらしいよ」

「夜は早く寝たほうがいいんだって。悪いこと考えるから」

と言葉をかけてあげたり、優しいです。

 

ミドリちゃんの家に泊まることになった秋姫を心配して、幼なじみの瞬ちゃんも秋姫を迎えに来ます。

 

瞬ちゃんは赤ん坊の時に、緑峰山の木の根元に置き去りにされていて、康徳様に拾われます。

そして、秋姫の母親が秋姫と一緒に育てました。

瞬ちゃんは頭が良くて頼りがいのある性格で、普通の人間ですが天狗の修行をしており、将来は天狗になることを目指しています。

秋姫のことを小さい頃からかばったり、面倒を見てきて、実は秋姫のことが好きなんですよね。

だから、タケル君と秋姫がつきあうことになった時は、複雑だったのですが。

ぶっきらぼうで、あからさまに感情を表に出したりしないのですが、秋姫への気持ちはけっこうバレバレです(笑)。

 

10巻以降に起きる大事件をきっかけに、最後には秋姫と思いが通じることになります。

瞬ちゃんが、ミドリちゃんと異母兄妹であることもわかります。瞬ちゃんとミドリちゃんは同い年で、どっちが先に生まれたのかはわかりませんが。

 

夏祭りがあり、文化祭があり、修学旅行があり。

皆でパフェを食べに行ったり、バレンタインのチョコレートを買いに行ったり、スケートに行ったり。

大好きな恋愛小説に影響されて、クラスの友達と

「皆で本当の恋をしよう」

と誓いあったり。個性豊かな(外見も!)の友達のそれぞれの恋の話も。

 

ちょっと変わった設定だけど、そういう何気ない高校生の日常生活がとても愛おしく思える作品です。

 

コミックのおまけが楽しい!

コミックのそれぞれの巻にはあとがきがついています。

作者の岩本ナオさんが、締め切り間際の時間がない時に書いていたようで、字はそんなに綺麗じゃないけど(笑)、中味はけっこう面白いです。

漫画のことだけじゃなく、飼っている猫や好きな俳優、アシスタントさんのエピソードも書かれていたりします。

 

また、作者の方が月刊Flowersの定期購読を勧めるために書いていた4コママンガが掲載されている巻もあります。

この漫画の番外編のような短いお話や、担当の編集者さんと一緒に各地の神社に取材に行ったり、動物園に行った時のレポが掲載されている巻もあります。

単行本では、雑誌連載中は見られなかったかもしれないお話も読めて楽しいです。

 

9巻以降の大事件の話は、長くなるので別の記事にしようと思います。

 

町でうわさの天狗の子」はもちろん紙版も販売されていますが、以下のサイトで電子版も読むことができます。