これは本当に長年連載が続いている作品ですね。独特の世界観があって、大好きです。
やじきた学園道中記
やじきた学園道中記 全29巻
やじきた学園道中記Ⅱ 全12巻
やじきた学園道中記 昭和仕立て 八丁堀事始め 1巻
やじきた学園道中記F 1~8巻 (「ミステリーボニータ」誌で連載継続中)
市東先生が他作品の連載をすることなどから、長期間連載が中断したことがありましたが、現在まで本当にたくさんの単行本が発売されています。
2017年にはシリーズ連載35周年を記念したファンブックも発売されるなど、長年に渡って高い人気を誇っている作品です。
アニメ化もされていて、DVD2巻が発売されています。
実は今手元になくて、この記事を書いているうちに無性に読みたくなってきました!
電子版、買っちゃおうかな・・・。
この作品は昭和時代(なんかすごく前のことに感じる・・・)の高校を舞台にしています。
主人公は喧嘩がやたらに強い2人の女子高生。その腕っぷしを買われて、全国の高校から学内の揉め事を解決してくれるよう依頼が来ます。
二人はその依頼に応じて、問題を抱える高校に転校し、問題を解決しては颯爽とまた別の高校に去っていくのです。
どちらかというと不良学生が主な登場人物ではあるのですが、それだけではなく、セレブな世界に属する高校生や、伝統的な武術を継承する高校生も登場します。
忍びになる修行をしている高校生や、東北の古来からの信仰に関わっている高校生など、描かれている世界がとても広いのが特徴です。
主人公が全国を渡り歩くので、その土地の方言をたくさん盛り込んでいたり、観光スポットや名物を紹介したりしているのも楽しいです。
主人公が別の場所に移動すると、また別の新しい話が始まるという構成になっています。
登場人物が皆とても魅力的で、しっかりとした世界観があるのが好きです。
主人公2人は運動神経抜群で腕っぷしは強いけれど、義理人情に厚く、江戸っ子らしいきっぷの良さがあります。
そのうちの一人、矢島順子は男兄弟のなかで育ち、情に厚く、感情に流されやすいタイプ。容姿端麗で、華やかな雰囲気があります。
もう一人の篠北礼子は刑事の娘で、頭脳明晰で冷静沈着。一時期男性にアレルギーがありました。
その一方で、クールな印象ではあるのですが、女性には優しく接するため、女性に異様にもててしまい、本人はその気がないため、困った事態に陥ることも多いです。
「矢島」と「篠北」という二人の名字から、「やじきたコンビ」と言われています。
二人はお互いのことをとても信頼していますが、馴れ合いはしません。
高校生が登場する話なのですが、恋愛の要素はあまりありません。それでも、すごく面白いです!
長いシリーズで、どの話も面白いのですが、私が特に好きな話を以下に挙げます。
やじきた学園道中記 文庫版 コミック 全18巻完結セット (秋田文庫 )
・ 桜華台高校を舞台とした話
桜華台高校は、代々武術が奨励されてきた学校です。
この高校では、晴らせぬ恨みを代わって晴らしてくれるという「必殺伝説」が語り継がれています。
桜華台高校には第一高と第二高があり、毎年合同武術大会が開催されて、腕を競い合っています。
その武術大会を前に、学内に不穏な動きがあり、その厄介事を解決するために、やじきたコンビは桜華台高校に転校するのです。
第二高の美しく気品のある生徒会長、姉小路白妙というキャラクターが、私はとても好きです。
白妙には婚約者がいたのですが、あることをきっかけに桜華台高校から追放されてしまいます。
その無念を晴らすために、桜華台を無敵の軍団に仕立てようとします。
この話だけ聞くと、なんだかよくわからずにきょとんとされる方もいらっしゃると思いますが、読めばわかります(笑)。
必殺伝説とのからみもとても面白いです。
・日光編
喧嘩騒ぎに巻き込まれては、その学校にいられなくなるということを繰り返していたやじきたコンビ。
二人の親は、騒動に巻き込まれる時は二人が必ず一緒にいるということに着目して、騒動が起きそうもない田舎の高校に娘を転校させることにします。
それが、日光にある太郎山高校。貧乏で、全校生徒の夢は自分たちが育てている野菜を売って、お金をためて、体育館を作ること。
そんなのどかな学校でしたが、やじさん(矢島順子)が転校してみると、教室にはきたさん(篠北礼子)の姿が。
親の願いもむなしく、鉢合わせしてしまった二人。当然また厄介事に巻き込まれていきます。
この話は奥日光の姫御前と呼ばれる不動明院妖女やハーディといった癖のある人物が活躍する話で、とても面白いです。
太郎山高校の隣にある光徳学園は、太郎山高校とは反対でお金持ちの家の子が通う学校です。
太郎山高校の生徒が作るおいしい野菜を巡って、光徳学園の不良学生と太郎山高校の生徒の間で諍いがあり、やじきたコンビはその騒動に巻き込まれます。
その過程で、やじさんが姫御前に気に入られて、またもやややこしい事態に・・・。
姫御前やそのお付きの女学生が着ている着物や、背景の日本庭園など、絵もとても美しくて見応えがあります。
・赤目編
やじきた学園道中記の第1巻の舞台となったのは、東京の三葉学園。
やじきたコンビの二人は、厄介事をおさめるために他校に転校するといっても、それは建前上のことでした。
実際には籍は三葉学園にあったのです。ただ、日光編で太郎山高校に転校した時は、籍も移していました。
二人は、三葉学園で不良グループ、「関東番長連合」の総長をしている徳永雪也と、様々な事件を通じて信頼関係を築いています。
その雪也が三重県の組織の頭に招かれて、訪ねていった先で、一緒に行った学生たちとともに拉致されるという事件が起きました。
やじきたコンビは、その行方を探るため、拉致を知らせる手紙にかかれていた三重県の赤目瀧上高校に転校します。
その高校はある資産家の息子が所有している土地に建っているのですが、最近になって急に立ち退きを迫られるようになりました。
赤目瀧上高校には、天武天皇ゆかりのお宝が大切に守られて保管されており、その場所をどうしても立ち退けないのです。
赤目には忍びの子孫が数多く暮らしていて、代々そのお宝を守ってきました。
ただし、そのお宝を目にすることは許されず、他の土地の者にも知られてはいけないのです。
お宝を必死に守ろうとする赤目瀧上高校の修験道部の学生たちと、それを助けようとするやじきたコンビと、無事に救出された雪也たち。
土地の所有者の資産家の息子と、ただ興味があるからとお宝の秘密を暴こうとする姫御前の婚約者の葵やハーディ、姫御前たち。
その攻防がとても面白いです。
・軽井沢編
「助けてください」
という一本の電話がかかってきて、相手が誰で、どういう事情なのかわからないけれども、やじきたコンビは指定された軽井沢の旧軽学院にやってきました。
旧軽学院は社交ダンスの名門校ですが、調べていくうちに、伝統のダンス大会をめぐって賭博が行われていることがわかります。
その事件を解決する過程で、やじさんが社交ダンスに挑戦する姿がよかったです。
また、軽井沢や社交ダンスといういつもと違う世界も新鮮でした。
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「やじきた学園道中記」シリーズはもちろん紙版も販売されていますが、以下のサイトで電子版も読むことができます。
ああ、読みたくなってきた!電子版って便利ですけど、気をつけないと次々買ってしまいそうで怖いですね(笑)。
*追記
2020年9月16日に、やじきた学園道中記の最新刊が発売されました!感想はこちら。
かなりのネタバレですので、内容がわかっても問題ない方だけご覧ください!